溶存酸素測定に影響を与えるものとは? パート1
溶存酸素測定において、最も顕著な変動をするのがすばり、温度です。その為、機器に搭載された温度センサーが正しく測定していることを確実にすることが重要です。温度が溶存酸素に与える影響は2通りです。
温度と拡散
まず、分子活性の増加または減少により、電気化学プローブのメンブレンや、蛍光式プローブのセンシング部での酸素拡散が、温度で変化します。温度による拡散率の変化は、定常状態の電気化学センサーメンブレンはその材質によって1℃ごとに約4%、ラピッドパルスセンサーで1℃ごとに1%、蛍光式センサーで1℃ごとに約1.5%です。
例えば、サンプルの温度が20℃から15℃に変化した場合、使用中のセンサーによってプローブシグナルは様々な率で減少し、水中の%空気飽和が変化していない場合にも低いDO%空気飽和を示します。この為、センサーシグナルは温度変化に沿って補正されなければなりません。年数の経過したアナログ機器のサーキットにはサーミスタを追加することで補正できます。最新のデジタル機器では、プローブのサーミスタからの温度読取値を使用した専用のアルゴリズムでソフトウェアが温度変化を補正します。
水中の温度と酸素溶解度
ここまでにご紹介した調整は、メンブレンやセンシング部を通した酸素拡散率への温度の影響を補正するのみです。これに加え、温度は水中の酸素溶解力にも影響を与えます。科学的事実として、水中の酸素溶解度は温度に直接比例します;酸素溶解度表をご覧ください。
水温が高いと、低い場合よりも酸素溶解度が減少します。例えば、海面(気圧760 mmHgの場合)の水の酸素飽和サンプルでは、完全に飽和されている為、温度に関係なく、100%空気飽和になります。しかしながら、水中の酸素溶解度が温度により変化するため、溶存酸素mg/L濃度は温度によって変化します。例えば、サンプルが両方とも100%空気飽和であっても、15℃の水は酸素10.08 mg/L を溶解しますが、30℃では7.56 mg/Lに留まります。ですので、サンプル温度毎のmg/L 濃度読取値を補正しなければなりません。
いずれの温度の影響も、プローブ信号からmg/L濃度への変換の際に因子分解されます。ProODO蛍光式DO計などの最新のデジタル機器や、旧式のPro20 DOメーターでは、ソフトウェアが機器校正後と測定中に温度関連因子の補正をします。
機器のファームウェアにて、Standard Methods for the Examination of Water and Wastewaterの算出式を使用した%空気飽和、温度、塩分からmg/L濃度への変換が自動で行われている間、%空気飽和の温度補正は実証的に行われます。%空気飽和からmg/L濃度への変換計算方式と例は以下です。
%空気飽和からDO mg/Lの決定
%空気飽和からDO mg/Lへの変換(ppmとも言います)の説明は以下です。この変換のためには、サンプルの温度と塩分を確認する必要があります。 この為、mg/L 値の計算には正確な温度が必要となります。
ステップ1:サンプルの%空気飽和、温度、塩分を決定
ステップ2:%空気飽和読取値を酸素溶解度表の適切な縦列(塩分)・横列(温度)の値で掛けます。
例
ステップ1:サンプル測定すると80%DO空気飽和 20º Cで塩分0 ppt
ステップ2:80(DO%)掛ける9.09(20º Cで塩分ゼロの酸素濃度値より)は7.27 mg/Lです。
結果:20º Cで塩分0 ppt のサンプル読取値:80%DO空気飽和への回答は7.27 mg/Lです。
蛍光式DO・温度(ODO/T) プローブを組み込み、YSI ProSolo デジタル水質メーターは最新鋭の溶存酸素テクノロジーのノウハウから得られた利点を結集しました。
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